始末書の書き方と例文集7選【テンプレ集あり】手書きの書き方も

この記事のポイント

  • 始末書とは、仕事上の問題(ミス、トラブル、アクシデントなど)の発生から解決までの経緯にまつわる報告書です。
  • 始末書は、謝罪や反省の気持ちを表す点では反省文と似ており、事の経緯を記録する点では顛末書と似ています。
  • 始末書は、事の重大性によっては問題解決プロセスの記録として会社にとって重要な文書となります。

始末書とは

始末書の書き方と例文集7選!手書きの書き方も

始末書のポイントは、は実質的には問題解決のプロセスを記録し、これを職場全体で共有するところにあります。同じような問題の再発を防ぎ、万が一再発したときにはどのように対処するかといった経験知を、組織として蓄積するのです。

一方、反省文は、軽微なミスなどについて、当事者の反省、謝罪、そして改善を促すために提出を求めるペナルティといえます。

反省文との違い

反省文と始末書はほとんど同じものと捉えて問題ありません。細かくいえば、反省文が「自分自身の習慣や性格についての改善努力を誓うもの」であるのに対し、始末書は「起きたミスや事案に対しての反省と改善を誓うもの」である点です。

また、始末書を書いている途中で反省文と混同してしまいやすいのは、「どの部分に重点を置くか」ということと考えられます。

顛末書との違い

顛末書の「顛末(てんまつ)」とは、「始末」と同様に「事の初めから終わりまで」「事のいきさつ」を意味しています。つまり、始末書も顛末書もともに、問題の発生から解決に至るまでのプロセスを記録する点では共通です。

ただし、始末書の場合は、問題が発生したことに対する、当事者としての謝罪や反省の気持ちを表現することが求められるようです。

なお、見逃されやすい点ですが、反省や謝罪を前提とした文書の提出を強要することは、時として法律上の問題となる場合があります。始末書や反省文の提出を求める立場の方は注意しましょう。肝心なのは、事実経過を整理し、発生原因を解明することにより、課題を考える、最終的に解決することです。

始末書の例文集、無料テンプレート

ここまで始末書の書き方や注意事項などについてお伝えしてきました。

とはいえ、始末書を書いたことがない方にとっては「どんな風に書けば良いのか」と迷ってしまう部分も多いのではないでしょうか?

最後に、始末書の例文をご紹介します。書いた始末書の内容が例文と全て一致していないかもしれませんが、作成するとき参考にしてみてはいかがでしょうか。

遅刻

【始末書】

件名:遅刻に関する始末書

拝啓

まず、私の遅刻につきまして、深くお詫び申し上げます。このたびの遅刻は、私の責任において生じたものであり、関係者の皆さまに多大なるご迷惑とご不便をおかけしたことを重々承知しております。

遅刻の原因は、[具体的な理由を記述]です。このような事態を未然に防ぐため、今後は[対策や改善策を記述]を実施する所存です。

このたびの遅刻により、[影響された業務や関係者について記述]に影響を及ぼしたことを深く反省しております。今後、このようなことがないよう十分に留意し、責任を持って業務に励む所存です。

最後になりますが、このような事態を引き起こしたことに対し、心よりお詫び申し上げます。何卒、ご理解のほどお願い申し上げます。

敬具

[日付]
[記入者の氏名]
[記入者の所属部署]
[記入者の連絡先]

作業ミス

件名:製造工程における作業ミスに関する始末書

拝啓

私は[日付]に、製造工程において重大な作業ミスを犯してしまいました。この不注意により発生した問題と、それに対する私の対応について報告いたします。

【作業ミスの内容と発生経緯】

・日付:[日付]

・作業内容:[作業の種類、例:部品の組み立て、機械の操作など]

・ミスの内容:[具体的なミスの内容、例:部品の誤組み立て、設定の誤入力など]

(例)

製品Aの組み立て作業中に、必要部品の取り付けを誤って省略してしまいました。その結果、50個の製品Aが不良品としてラインから排出されました。

・ミスの経緯:[ミスが発生した具体的な状況の説明]

(例)

私はその日、新しい作業手順に従って作業を行っていましたが、手順書の確認が不十分であり、新たに追加された部品取り付け工程を見落としてしまいました。また、作業に慣れていないことから、確認作業も怠ってしまい、ミスをその場で発見できませんでした。

【影響】

・生産遅延:このミスにより、[関連する製品やプロジェクト]の生産に遅延が生じました。

・品質問題:ミスにより、製品の品質に影響がおよびました。

【対応策および再発防止策】

①直ちに上司および関連部署に報告し、ミスの事実を共有しました。

②速やかにミスの訂正作業を行い、品質管理部門と連携して品質の確認をしました。

③作業手順の再確認:今後は作業手順を再確認し、正確な作業を心がけます。

④定期的な技能トレーニング:定期的な技能トレーニングを受け、スキルアップを図ります。

このたびの作業ミスにより、生産工程に支障をきたし、皆さまにご迷惑をおかけしたことを深く反省しております。今後は同様のミスを繰り返さないよう、細心の注意を払う所存です。

何卒、ご理解のほどお願い申し上げます。

敬具

[日付]
[記入者の氏名]
[記入者の所属部署]
[記入者の連絡先]

物損事故

【始末書】

件名:物損事故に関する始末書

拝啓

私は[日付]に、会社の資産を損傷する形で物損事故を引き起こしてしまいました。この出来事について、事故の経緯とその影響、今後の対策を報告いたします。

【事故の経緯】

・日付:[日付]

・時間:[時間]

・場所:[事故発生場所]

・事故の状況:私は[詳細な事故の状況、例:会社の車両を運転中に壁に衝突、機器の誤操作による損傷など]を行ってしまいました。

(例)

社用車(車両番号:○○○○)を駐車場にてバックさせる際、隣に駐車していた車両(所有者:○○様)の前部バンパーに接触し、擦り傷をつけてしまいました。

当日、私は社用車を使用して外回りの業務を行っておりました。○○支店に戻り、駐車場にて車をバックさせる際、後方確認が不十分であり、また、駐車スペースが狭いことを考慮せずに操作を行ったため、隣の車両に接触してしまいました。

・原因:[事故の原因、例:注意不足、操縦ミス、機器の誤操作など]

【事故の影響】

・物的損害:[事故による物的損害の詳細、例:車両の修理費用、機器の修理または交換費用など]

・業務への影響:この事故により、[業務への具体的な影響、例:運送業務の遅延、生産ラインの停止など]

【対応策および再発防止策】

①事故発生後、直ちに上司および関連部署に報告し、事故処理を行いました。

②必要な保険手続きを進め、修理や交換の手配を行いました。

③安全管理の徹底:今後は使用機器や運転に関する安全確認をさらに厳格に行います。

④定期的な安全教育の受講:年に一度、安全に関する教育を受講し、知識と技術の向上を図ります。

このたびの事故により、会社の資産を損傷し、業務に支障をきたしたことを深く反省しております。今後はこのような事故が発生しないよう、細心の注意を払い、安全第一で業務にあたる所存です。

敬具

[日付]
[記入者の氏名]
[記入者の所属部署]
[記入者の連絡先]

交通事故

【始末書】

件名:交通事故に関する始末書

拝啓

私は[日付]に、業務中の運転中に交通事故を引き起こしてしまいました。この出来事について、事故の経緯とその影響、および今後の対策を報告いたします。

【事故の経緯】

・日付:[日付]

・時間:[時間]

・場所:[事故発生場所]

・事故の状況:私は[詳細な事故の状況、例:交差点での右折中、他車との接触]をしてしまいました。

・原因:[事故の原因、例:一時停止の不履行、速度超過、注意散漫など]

【事故の影響】

・物的損害:[事故による物的損害の詳細、例:他の車両への損害、会社の車両損害など]

・人的損害:[もし怪我人がいた場合、その詳細]

・業務への影響:この事故により、[業務への具体的な影響、例:配達遅延、業務中断など]

【対応策および再発防止策】

①事故発生後、直ちに警察に報告し、事故処理を行いました。

②保険会社への報告と、必要な手続きを進めました。

③運転中の安全管理の徹底:今後は運転中の安全確認をさらに厳格に行い、安全運転を心がけます。

④定期的な安全運転研修の受講:年に一度、安全運転に関する研修を受講し、知識と技術の向上を図ります。

このたびの事故により、関係者の皆さまにご迷惑をおかけしたことを深く反省しております。今後はこのような事故が発生しないよう、細心の注意を払い、安全第一で業務にあたる所存です。

敬具

[日付]
[記入者の氏名]
[記入者の所属部署]
[記入者の連絡先]

書類紛失

【始末書】

件名:書類紛失に関する始末書

拝啓

私は[日付]において、重要な書類の紛失を招いてしまいました。この不注意により発生した問題と、それに対する私の対応について報告いたします。

なお、内容を明確にするため、問題の経緯などを別紙に整理しております。

このたびの不注意により、取引先企業および当社の情報の漏洩、業務の進行の支障など、関係者の皆さまにご迷惑をおかけしたことを深く反省しております。今後は、新たに設けた再発防止策を遵守し、このような事故を二度と繰り返さないよう、細心の注意を払う所存です。

敬具

[日付]
[記入者の氏名]
[記入者の所属部署]
[記入者の連絡先]


別紙

サンプル社との契約に関する書類の紛失について

【紛失した書類の内容と紛失の経緯】

・日付:令和5年4月2日

・場所:[場所] ※特定できない場合は「不明」と記載する

・紛失した書類:「株式会社サンプル」との契約更新のために作成した書類一式(4月1日作成) ※必要に応じて内容を記載する

・紛失の経緯:サンプル社に書類を持参し、顧客先での打ち合わせに使用
打ち合わせ後、書類を持って帰社。帰社の途中では書類ケースの所持を確認
帰社後、書類ケースの紛失に気づく

・紛失後の対応:午前中の外出時に、サンプル社から当社までの経路を確認したが発見できず

・社内報告の状況:4月2日14:00 書類紛失確認後、○○係長に報告後、○○課長、○○部長に報告

・サンプル社への報告:4月2日14:30 サンプル社担当者(○○課 ○○様)に報告

・顧問弁護士への相談:4月2日15:00 ○○弁護士に相談
紛失した書類にサンプル社の××に関する記述があり、同社の業務に影響が生じる恐れがあり、損害賠償の請求が懸念される

・想定される影響:関連する業務やプロジェクトの遅延
個人情報、重要な取引情報の漏洩
サンプル社からの賠償請求

・対応策の検討:4月2日16:30 サンプル社への報告および弁護士との相談結果を
踏まえ、関係部課と打ち合わせ

[出席者]・・・・・・

打ち合わせ結果 ①・・・・・
②・・・・・
③・・・・・

・サンプル社の対応:○○課 ○○課長から下記の連絡
具体的な損害が発生していないので静観したいとのこと
今後は書類の管理に十分注意をされたいとの申し入れ

・再発防止策:

[記入者の氏名]
[記入者の所属部署]
[記入者の連絡先]

打刻忘れ

【始末書】

件名:打刻忘れに関する始末書

拝啓

私は、[日付]に勤務時間の打刻を忘れたことにより、勤怠管理上の誤りを引き起こしました。この不注意により発生した問題と、それに対する私の対応について報告いたします。

【打刻忘れ発生の経緯】

・日付:[日付]

・状況:その日は通常通り[時間]に出勤しましたが、緊急の業務に取りかかるため急いでいたため、出勤時の打刻を忘れてしまいました。

【影響】

・勤怠記録の不整合:私の出勤記録が欠落したことで、勤怠管理の正確性が損なわれました。

・管理者への追加作業:このミスにより、管理者が手動で記録を修正する必要が生じました。

【再発防止策】

出勤および退勤時には、必ず打刻を行うよう自己管理を徹底します。

携帯電話のアラーム機能を利用し、出勤時と退勤時の両方に打刻を思い出させるリマインダーを設定します。

もしもの場合に備え、打刻忘れが発生した場合は直ちに上司または人事部に報告し、適切な対処を行います。

このたびの不注意により、勤怠管理の正確性を損ない、関係者の皆さまにご迷惑をおかけしたことを深く反省しております。今後はこのようなミスを繰り返さないよう、細心の注意を払う所存です。

敬具

[日付]
[記入者の氏名]
[記入者の所属部署]
[記入者の連絡先]

介護

【始末書】

件名:介護業務におけるミスによるクレーム発生に関する始末書

拝啓

私は、下記のような介護ミスを犯し、ご利用者さまおよびそのご家族からのクレームを招いてしまいました。このことにつきまして、深くお詫び申し上げるとともに、その詳細と対応策を報告いたします。

【ミスの内容と発生経緯】

・日付:[日付]

・内容:利用者さまの[具体的なミスの内容、例:薬の誤投与、予定されていたケアの漏れなど]

・経緯:[ミスが発生した具体的な状況の説明]

【クレームの内容】

・発生日時:[日時]

・クレーム内容:

当日、私は[施設利用者]さまの食事介助を行っておりました。[施設利用者]さまは嚥下機能に障害があり、特別な食事形態が必要であるにもかかわらず、私は個別ケアプランを十分に確認せず、通常の食事を提供してしまいました。そのため、[施設利用者]さまは食事を口にされた後、咳き込まれ、一時的に呼吸が困難になる事態が発生しました。

[施設利用者]さまに下向きになっていただき、口腔内を確認したところ、食物が溜まっている状態でしたので、直ちに指でこれを取り除きました。続いて、咳き込みを緩和させるため、背中をさするとともに、時折、軽くたたくなどの措置を行いました。これらの対応は、当施設のマニュアルに基づいたものです。

幸いにも、以上の対応により、[施設利用者]さまの状態は安定しましたが、この事態により [施設利用者]さまには多大なる不安とご迷惑をおかけいたしました。

以上のことについては、対応が終わった後、○○課長に報告するとともに、当日の介護記録ノートに入力しております。

この事故が起こってから1週間後(○月○日 14:00)に、[施設利用者]さまのご家族がお見えになった際に、[施設利用者]さまからこの事故についてのお話をお聞きになり、[施設利用者]さまとご家族からクレームを頂戴しました。

私からは、個別ケアプランの確認が不十分であったこと、[施設利用者]さまの咳き込みに対して行った対応をご説明しました。

しかしながら、[施設利用者]さまおよびご家族にとっては、一時的とはいえ呼吸が困難になった事態は重大であり、二度とこのような事故が発生しないよう重々注意するよう厳しくお叱りを頂戴しました。

【影響】

・ご利用者さまの信頼失墜:ミスにより[施設利用者]さま、およびご家族からの信頼を失いました。

・施設の評判への悪影響:このミスが施設全体のサービス品質への疑問を招く可能性があります。

【原因と課題】

今回の事故は、個別マニュアルの確認を怠ったことから生じたものです。

ご利用者さまが施設内で、健康かつ安全な日々を過ごすとともに、そのご家族が当施設を信頼し安心してご利用者さまを委ねるうえで、個別マニュアルは重要かつ基本的なものであることを強く意識することが何よりも重要と改めて認識しております。

今後は、ご利用者さまと接する際には、常に個別マニュアルを確認することとします。

【対応策および再発防止策】

ご利用者さまおよびご家族への直接的な謝罪:直ちにご利用さまとご家族に対し、事の経緯をお伝えし、謝罪いたしました。

②職員としての研修の再受講:ミスを犯した業務に関連する研修を再受講し、知識と技術を再確認します。

③日々の業務におけるチェックリストの導入:今後は業務開始前と終了時にチェックリストを用いて、ミスを未然に防ぎます。

このたびのミスにより、ご利用者さまおよびご家族に多大なるご迷惑をおかけしたことを深く反省し、今後は同様のミスを繰り返さないよう、全力を尽くします。

敬具

[日付]
[記入者の氏名]
[記入者の所属部署]
[記入者の連絡先]

【基礎編】始末書の書き方(手順)

始末書は主に3つの項目について記載します。

漠然と「始末書を書く」と考えると、何と書けば良いかわからないかもしれません。

しかし、始末書に必要な3つの項目を把握していれば短時間で簡単に書けます。

まずは迷惑をかけたことについての謝罪

初めに書くのは「始末書を書くことになった事案についての謝罪」です。

始末書に限ったことではありませんが、「何について謝っているのか」という点が重要です。

まずは「○○の××についてご迷惑をおかけし、大変申し訳ございません」など、具体的なお詫びを記載します。

事実的な経緯

謝罪の次には「いつ、どこで、何が起きたか」という事実を記載します。

経緯は簡潔で伝わりやすいものにするため、5W1Hを意識するのが一般的です。

  • いつ(What)
  • どこで(Where)
  • 誰が(Who)
  • 何を(What)
  • なぜ(Why)
  • どのように(How)

経緯の説明をしようとすると、つい長くなりがちになりますが、事の流れを知らない第三者が理解できるようにするには、簡潔で抜け漏れのない情報を伝えることが必要です。5W1Hを基準に考えをまとめるとスムーズに書き出せるでしょう。

具体的な再発防止策と気持ちの表明

最後は「具体的な再発防止策と気持ちの表明」で締めくくります。社会人として、ただ謝罪をすればそれで良いということはありません。同じことを繰り返さないために必要な対応策を明確に記載します。もちろん、今回のことを教訓にし、今後に活かすという気持ちを表す言葉も必要です。

【ケース別】始末書の書き方のポイント

すでにご説明したように、始末書は、謝罪や反省だけでなく、問題の発生から解決に至るまでのプロセスを記録する役割も担っています。重要な案件であれば、次のステップに沿って時系列的に整理すると良いでしょう。

  • ステップ1 事実の確認① どんな問題が、いつどこで起こったのか② どんな被害が生じたか③ 当事者は誰なのか
  • ステップ2 原因の追究と課題の形成④ 問題発生の原因は何か⑤ 問題の解決に向けてどのように課題を整理したか
  • ステップ3 実行計画の策定と行動⑥ 課題解決のためにどんな実行計画を立てて行動したか⑦ 実際の行動を踏まえどのような計画修正があったか
  • ステップ4 実行計画の評価と再発防止策
    ⑧ 問題はどのようにして解決できた⑨ これまでのプロセスを振り返ってどのように評価するか⑩ 再発防止策の策定

課題の重要度にもよりますが、問題の解決は、自分が一人で抱え込む仕事ではなく、上司や同僚と一緒に取り組むものです。①、②、③は当事者である自分で整理するものですが、④から⑩までは皆で考え、その内容は議事録やメモとして残されているはずです。始末書のために新たに書き起こすものは、そんなに多くはありません。

ポイントは、①から⑩までのプロセスを着実にたどり、問題を解決することです。次は、そのためのポイントを説明します。

事実の確認

まず、①・②・③のプロセスで最も重要なのは、問題として発生した事実を、客観的に俯瞰して書き留めることです。

このとき注意すべき点が2つあります。一つは、事実の取捨選択をしないことであり、二つ目は、事実の記録に原因を入れないことです。いずれも自分自身の主観的判断が入りがちなので、注意しましょう。

原因の追究と課題の形成

事実の全容が明らかになったところで、次は問題発生の原因を探ります。そのためにはさまざまな方法が編み出されていますが、ここではロジックツリーを紹介しましょう。

ロジックツリーとは、問題をある切り口に従っていくつかの要素に分解し、さらにそれぞれの要素を分解するという思考を繰り返していくというものです。こうして問題という「幹」から要素という「枝葉」が次々と生えていくことになり、これを図に表すとツリー(木)のように見えるというわけです。

このとき重要なのが、あくまでも論理的に(ロジカルに)一段階ずつ着実に要素を明らかにしていくという点であり、論理性が欠けていると、単なるツリーにしかなりません。原因追究のためのロジックツリーは、「whyツリー」と呼ばれています。「問題が起こったのはなぜか」という切り口で原因を探っていくことにより、初めは抽象的だった課題が具体化され、始末書に書くべき内容がまとめやすくなるでしょう。

始末書の手書きの書き方・ポイント

始末書だからといって手書きにこだわることはありませんが、手書きの場合のポイントは、丁寧に書くことに尽きます。達筆や悪筆の問題ではありません。丁寧であることこそが、書き手の思いを伝えるものです。

また、あて名の書き方には注意が必要です。例えば、他社の社長宛ての場合であれば、「○○株式会社 代表取締役 山田一郎 様」としましょう。時折「山田社長 様」といった書き方を見かけますが、これは間違いです。一般的に、役職には尊敬語の意味合いが含まれているので、くれぐれも注意しましょう。

最後に始末書を入れる封筒について。ポイントを箇条書きで整理しておきます。

  • 白い二重になった封筒
  • 便箋や用紙は色柄が入っていないもの
  • 鉛筆や熱で文字が消えるペンは使用しない
  • 使用するインクは全て黒
  • 用紙は三つ折りにして入れる
  • 表書きは中央に「始末書」
  • 封筒左下に所属・役職・氏名
  • 封をする

封筒は茶封筒ではなく、中身が透けない白地の二重封筒を使います。上記のポイントを押さえるのは、もちろん重要ですが、最も大切にしたいのは「誠意を伝えること」です。

文字を丁寧に書いたり、用紙をきれいに折ったりすることも反省の気持ちを伝える方法の一つと捉えましょう。

監修者の編集後記 -始末書の書き方について

今回は「始末書」について解説しました。

会社や上司から「始末書を書くように」と指示されると、戸惑ってしまうこともありますよね。緊張して上手く書けないという方も少なくありません。

今回の記事内でもお伝えしたように、始末書は言い訳ではなく事実を明確にし、自分が謝罪すべきことについてお詫びをし、同じことが起きないための対策を立てて実行すれば良いのです。

始末書を書いたことをきっかけに、これまでよりも良い環境にしよう、良い仕事をしよう、という前向きな考えも持っておきましょう。

※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。