第二新卒とはいつまで?人生終了ではない理由
この記事のポイント
- 第二新卒とは、新卒としての採用後、数年以内に離職し、転職活動を行う若年求職者のことです。
- 第二新卒の転職市場は拡大傾向が見られ、企業にとっても採用のメリットがある人材です。
- 第二新卒の転職は、「止めておけ」「人生が終わる」などと言われる場合も多くなっています。しかし、決してそのようなネガティブな面だけではありません。
目次
第二新卒の意味とは?
「第二新卒」とは、企業に新卒採用された後に、比較的短期間で離職し転職活動を行う求職者を指す言葉です。離職が採用後何年以内であるか、転職活動を行う求職者が何歳であるかといった公的な定義は存在しません。
また、第二新卒は、正社員として採用経験があることを条件とされる場合が少なくありません。そのため、アルバイトなどの非正規雇用の経験しかない求職者は、第二新卒の範囲に入らないことになります。
第二新卒はいつまで・何歳まで?
すでに述べた通り、第二新卒に公的な定義はなく、採用する企業によって自由に定義付けることが可能です。しかし、一般的には採用後3年以内に離職した求職者を第二新卒とする場合が多くなっています。そのため、年齢としては大卒であれば25歳前後となるでしょう。ただし、厳格な年齢基準は存在せず、企業が第二新卒を採用する場合であっても、その年齢には幅が見られます。
高卒やフリーターの場合、第二新卒に入る?
大卒者だけでなく、高卒者も第二新卒の範囲に含まれることが一般的です。第二新卒は、新卒としての採用後3年以内の離職であるため、高卒者の年齢としては21歳前後になります。
また、フリーターであっても、1社以上で正社員としての就業経験があり、卒業後3年以内であれば第二新卒として扱われます。一方で、卒業後ずっとフリーターである場合には、年齢を問わず第二新卒として扱われないことになるでしょう。
第二新卒は人生終了ではないのに、なぜそう言われる?
第二新卒で検索すると、「やめとけ」「やばい」などネガティブな言葉とセットで語られていることも少なくありません。しかし、第二新卒は転職市場において、需要が高まっている人材であり、決してネガティブな面だけの存在ではありません。
正社員としての経験と若さによる柔軟性を兼ね備える第二新卒は、企業にとっても魅力的な人材として捉えられています。
第二新卒の需要が高まっている背景
現在の日本は、少子高齢化の進展により労働力人口の減少傾向が続いています。そのため、どの企業も労働力の確保が喫緊の課題となり、採用競争は激化の一途をたどっています。そんな状況下にあって、正社員としての勤務経験を持つ第二新卒は、社会人として必要な知識やマナーを身に付けた人材として、企業にとっての需要が高まっています。
第二新卒に該当する人材の数自体が多いことも、需要の高まりと無関係ではありません。厚生労働省が2023年に公表した「新規学卒就職者の離職状況(令和2年3月卒業者)」によると、就職後3年以内の離職率は新規高卒就職者で37.0%、新規大卒就職者で32.3%です。実に3人に1人が就職後3年以内に離職していることになり、これらの人材を活用しようと企業が考えるのも自然といえるでしょう。
参考:新規学卒就職者の離職状況(令和2年3月卒業者)|厚生労働省
第二新卒を採用するメリット・デメリット
第二新卒は、採用する企業にとって、魅力的なメリットのある人材です。しかし、採用においてはデメリットも存在するため、注意が必要です。本項では、第二新卒採用におけるメリット・デメリットについて、項目を分けて解説します。
第二新卒を採用するメリット
第二新卒の採用には、以下のようなメリットがあります。
- 教育にかかるコストを抑えられる
短い期間とはいえ、第二新卒は正社員として教育を受けてきた経験があります。そのため、新卒採用に比べ教育にかかるコストも低くなっています。名刺交換など、社会人としての一般的なマナーも身に付いているため、教育にかかる時間も短縮可能です。
- 企業風土に馴染みやすい
第二新卒は、社会人としての経験が短いため、前職における企業風土に染まっていません。そのため、柔軟な価値観を持ち、新たな職場にも適応しやすいのが特徴です。新たな企業風土にも適応しやすい第二新卒は、定着率も高くなるでしょう。
- 通年採用が可能
異なった採用制度を設ける企業も増えているとはいえ、日本では新卒一括採用が未だに主流です。一方の第二新卒採用は、中途採用と同様に通年採用が可能です。通年採用では、新卒採用のような選考期間の制限がないため、時間をかけて選考できるでしょう。このことは、企業とのミスマッチ発生を防ぐことにつながります。
第二新卒を採用するデメリット
第二新卒採用は、以下のようなデメリットもあるため、注意してください。
- 離職のリスクが高い
企業とのミスマッチや、待遇の不満など第二新卒が離職した理由は様々です。スキルアップなど、ポジティブな理由で離職した第二新卒ばかりではありません。なかには、単に堪え性がないとしか判断できない第二新卒がいるのも事実です。そのような第二新卒は、採用してもすぐに離職してしまうでしょう。
- 即戦力としての利用は難しい
第二新卒は社会人としての経験があり、一定のビジネスマナーも身に付いています。しかし、第二新卒は短ければ半年や1年、長くても3年程度しか社会人を経験していません。この期間で身に付く実務能力は、それほど高いものではないでしょう。そのため、即戦力を期待して採用すると、肩透かしな結果となる可能性もあります。
- 前職と比較される
第二新卒と新卒の大きな違いは、前職の有無です。前職がある第二新卒は、新卒と異なり「こういうもの」として業務の進め方や職場環境を受け入れられない場合があります。そのため、「前職の方が良かった」と新卒にはない不満を抱くことが少なくありません。前職があることは、メリットにもつながるのですが、デメリットにもなり得るため注意が必要です。
第二新卒の採用に関する状況・データ
第二新卒の採用に関するデータを通して、第二新卒に対する理解を深めることができます。独立行政法人労働政策研究・研修機構が行った「第二新卒者の採用実態調査」の結果を見てみましょう。
第二新卒採用は新卒枠と中途採用枠に二分化
採用枠には、新卒採用と中途採用の2種類が存在します。では、第二新卒は新卒採用と中途採用のどちらに該当するのでしょうか。
調査において、過去3年間に第二新卒を採用対象とした企業の40.1%が第二新卒を新卒枠での採用対象としています。一方で、過去3年間に第二新卒を採用対象とした企業の51.9%が、第二新卒を中途採用の枠で採用したと回答しています。両者にそれほど大きな差はなく、第二新卒の採用枠は二分化されているといえるでしょう。
参考:第二新卒者の採用実態調査(P5)|独立行政法人労働政策研究・研修機構
採用後の評価は良好
第二新卒の採用後における評価は、概ね良好な結果を示しています。たとえば、「職業観、就労意欲」の項目では、37.6%の企業が第二新卒を新卒と比べて優れていると評価しています。また、「基本的な生活態度、言葉遣い、マナー」は31.1%、「専門知識・技術(資格等)」は26.6%など、他の項目においても新卒より優れていると評価されており、一定以上の評価を受けています。第二新卒の社会人としての経験が活かされている結果といえるでしょう。
参考:第二新卒者の採用実態調査(P44)|独立行政法人労働政策研究・研修機構
採用後の処遇は新卒と変わらない
第二新卒は、採用後どのような条件で勤務しているのでしょうか。調査では、全体の68.1%の企業が新卒採用と処遇面で変わりはないと回答しています。新卒枠と中途採用枠で比率の違いはありますが、どちらも処遇面で新卒と違いを設けていない企業が多数派であることは変わりません。第二新卒は、基本的に新卒者と同等の待遇を受けているといって良いでしょう。
参考:第二新卒者の採用実態調査(P35)|独立行政法人労働政策研究・研修機構
監修者の編集後記 -第二新卒について-
企業規模や業種を問わず、労働力の確保に困難を感じている企業は少なくありません。このような状況にあって、新卒採用にこだわっていては、とても必要な労働力を賄えないでしょう。
第二新卒を採用から短期間で離職した問題のある人材と捉える方も多いかもしれません。しかし、第二新卒を若さによる柔軟さと一定の知識を備えたハイブリッド人材であると捉えて、活用してみてはいかがでしょうか。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。