離職票とは?いつ届く?発行方法・書き方を分かりやすく解説

この記事のポイント

  • 離職票とは、勤務先の会社を退職後に、雇用保険の基本手当(いわゆる通常の失業給付)を受け取るために必要な書類のことです。
  • 退職した勤務先から離職票を受け取りハローワークに提出する際は、会社側の記載をよく確認し、受給が不利にならないように注意が必要です。
  • 企業側(離職票を発行する側)が離職票の発行事務を行う際は、記載や添付書類に誤りがあると発行までに余計な時間がかかってしまいます。必要事項を確実に把握する必要があります。

離職票(雇用保険被保険者離職票)とは?

離職票とは?いつ届く?発行方法・書き方を分かりやすく解説

離職票とは、従業員が退職した際に、会社を通じハローワークから発行(交付)される雇用保険の書類のことで、正式名称は「雇用保険被保険者離職票」と呼びます。

失業状態にある時に基本手当を受給するためには、最寄りのハローワークへ求職の申し込みを行い、離職票を提出する必要があります。なお、よく間違われやすい書類として、「退職証明書」があります。こちらはハローワークではなく勤務先が発行する別の書類のことで、国民健康保険などの手続きに必要となります。

離職票はいつ届く?いつもらえる?

離職票は、ほとんどの場合、退職してから10日から2週間程度の間に、ご自宅宛に届けられます。ここで1つ注意点があります。離職票を確実に受け取りたい場合は、会社を辞める前後で、必ず勤務先の担当者(労務や総務など)に依頼しておきましょう。会社によっては依頼をしなくても離職票を発行してくれることもありますが、依頼がないと発行してもらえない会社も少なくありません。

離職票の受け取りが遅れてしまうと、その分、ハローワークへの求職の申し込みも後ろ倒しになり、手当の受給開始が遅れてしまいます。十分な貯蓄がなく、金銭面で不安な方は、依頼と同時に自宅に郵送されるまでの日数も確認しておきましょう。

離職票の再発行方法

離職票を紛失しまった場合でも再発行(再交付)をすることが可能です。離職票を再発行する際は、会社経由でハローワークに再発行してもらうか、本人が直接ハローワークに再発行の申請をするか、どちらかの方法となります。

ハローワークに赴く時間があり、かつ再発行を急ぐ場合は、ご自身でハローワークへ申請を行う方がよいでしょう。会社を経由すると、連絡を余計に挟む分、再発行が遅れる可能性があるためです。

なお、ご自身で再発行を行う場合は「離職票再交付申請書」という書類に、必要事項を記載して提出することになります。ハローワークでも配布しているため、申請書を受け取った際に、窓口に相談しながら記入すると確実です。なお、再発行申請の際には身分証明書(運転免許証や住民票の写しなど、本人確認できるもの)が必要となるため、忘れずに持っていきましょう。

【退職者向け】離職票の書き方

離職票の大部分は勤務していた会社によって記載がなされた状態で発行されます。そのため離職票を受け取ったら、記載されている内容が自分の認識と食い違いがないかを確認し、受給に必要な箇所を記入する作業が中心となります。特に、離職理由欄は基本手当を受給できる期間にも影響するため、よく確認しましょう。

離職票-1の書き方

離職票-1 雇用保険被保険者資格喪失確認通知書
参考:雇用保険の具体的な手続き|ハローワークインターネットサービス|厚生労働省

「離職票-1」については、記載すべき場所は大きく分けて2箇所となります。1つ目はマイナンバー(個人番号)の記載欄。もう1つは、基本手当の振込先となる銀行口座の情報です。

マイナンバーの欄は、マイナンバーカード等に記載されている内容をそのまま記入します。

銀行口座の情報は、下部の「求職者給付等払渡希望金融機関指定届」に記載しますが、2つ注意点があります。1つは、口座の名義は必ず本人の名義でなければならない点です。もう1つは、一部のネットバンクはハローワークからの振り込みに対応していない点です。ネットバンクを指定したい場合は、事前にハローワーク窓口などで確認しましょう。

離職票-2の書き方

離職票-2 雇用保険被保険者離職票
参考:雇用保険の具体的な手続き|ハローワークインターネットサービス|厚生労働省

「離職票-2」については、記載すべき欄は本人証明欄となります。

まず、左側の賃金等の記載欄を確認します。給与明細等を参考に、自分が受け取っていた給与と相違がないかを確認すると確実です。右側では、会社記載の離職理由等を確認します。自分の認識と相違がなければ「具体的事情記載欄(離職者用)」に「同上」などの文言を記載し、離職者本人の判断の欄にも「異議なし」に丸をつけた上で、本人署名欄に自著で署名します。

なお、会社が記載した離職理由に異議がある場合は、その旨を記載することになります。

【企業向け】離職票の発行には「離職証明書」の提出が必要

退職する従業員に離職票を発行するためには、退職日後に離職証明書(被保険者離職証明書)をハローワークに提出する必要があります。従業員が退職する際は、事前に次の職場が決まっているかを確認しておきましょう。

決まっていない場合は、基本手当を受給する予定があるか確認し、必要に応じて提出準備に取りかかります。なお、退職後の従業員でも、転職先で育児休業を取得する際などに後から発行を求められることがあるため、問い合わせがあれば対応が必要です。

離職票の発行に必要なもの

前述の通り、離職票を発行するためには、ハローワークに「離職証明書(被保険者離職証明書)」を提出する必要があります。離職証明書は、複写式の三枚綴りの書類で、そのうちの1枚が退職者に渡す「離職票-2」となります。

また、離職証明書の提出は退職の手続き(資格喪失の手続き)と同時に行う場合がほとんどです。この場合は、退職手続きの書類である「雇用保険被保険者資格喪失届」と同時に提出します。

離職証明書の添付書類は「賃金台帳」「出勤簿(タイムカードなど)」「労働者名簿」が必要です。加えて、離職理由が確認できる書類も必要となりますが、一般的な自己都合退職の場合は、退職届(の写し)で受け付けてくれます。その他の離職理由だと、添付書類が変更・追加となる場合があるため、事前にハローワークに確認すると確実でしょう。

【企業向け】離職証明書の書き方(離職票の書き方)

離職証明書の記載内容が「離職票-2」の内容となりますが、記載する内容が多く、添付資料も必要となります。また、賃金欄などに記載した内容と添付資料に食い違いがある場合は、ハローワークから書類を返戻されることがあります。

返戻され再提出となると、退職者へ渡す時期も遅れてしまうため、記載は確実に行いましょう。

従業員情報の記入

離職票の従業員情報では、氏名と住所を記入します。住所に関しては基本的に現住所を記載します。ただし、離職後に帰省したり転居したりすることがわかっている場合は、転居先の住所をあらかじめ記載しても問題ありません。退職者が赴くのは、現住所を管轄するハローワークだからです。

その他は、被保険者番号と離職年月日を入力します。離職年月日というのは、いわゆる退職日のことです。例えば、9月末の退職であれば9月30日が離職年月日となります。

会社情報の入力

会社情報については、雇用保険に届け出ている会社の住所と事業主氏名、そして事業所番号を記載します。事業所番号というのは、雇用保険の届出のために会社ごとに割り振られた番号のことです(大企業など支社・支店が複数ある場合は、支社・支店ごとに割り振られている場合もあります)。

算定対象期間と賃金支払基礎日数を入力する

基本手当を受給するためには、退職日から遡って2年の間に12ヶ月以上の被保険者期間が必要となります。算定対象期間とは、この退職日から遡った2年間のことです。

また、被保険者期間とは、退職した従業員が雇用保険に加入していた(被保険者であった)期間のことです。出勤日数が11日以上ある月が、1ヶ月としてカウントされます。

「⑧被保険者期間算定対象期間」の欄では、退職日から1ヶ月ごとに遡った期間を記入します。例えば、ある月の20日に退職したのであれば、各月の算定対象期間欄は21日から20日までの期間を記入します。その横の賃金支払基礎日数欄については、月給者であれば(欠勤がない限りは)30日など各月の暦日数を、時給者や日給者であれば出勤日数を記載します。

隣の「⑩賃金支払い対象期間」は給与計算の際に用いる、勤怠等の締め日までの期間を指します。この欄は、毎月の給与計算の締日の翌日から起算して記入していきます。例えば毎月20日に勤怠の締日となる場合は、各月の記載は21日から20日として記載します。

その横の基礎日数の欄は、賃金の支払い対象となった日数を記入します。こちらも月給者であれば(欠勤等がない限りは)各月の暦日数を、時給者や日給者であれば出勤日数を記載します。

賃金額を入力する

賃金の入力(記載)にあたっては、2つのルールがあります。

1つ目は、A欄とB欄の区別です。月給制で支払われる賃金はA欄、日給または時給制で支払われた賃金は原則としてB欄に記載します。

2つ目は各種手当の取り扱いです。結婚祝い金などの臨時払いや、ボーナス(賞与)は、離職票に記載する賃金に含めません(ただし、年に4回以上支給されるボーナスは離職票に記載すべき賃金として扱われます)。なお、原則として家賃補助などの手当は賃金に含まれるため、ご注意ください。

退職理由を記入する

退職理由の欄では「自己都合退職」や「契約期間満了」「定年退職」などを参照し、実態に即した理由を記載します。従業員の退職の経緯を確認し、該当する理由を記載しましょう。

【企業向け】離職証明書の提出方法

離職証明書を提出する方法は複数あります。近年は、電子申請を行う会社も増えているため、併せて解説します。

ハローワークに直接持ち込み

ハローワークに離職証明書その他の必要書類を直接持ち込むことで提出が可能です。なお、各ハローワークには、主に入退社手続きを担当する「適用課」と呼ばれる部署の窓口があります。

適用課には、会社などの事業者向けの窓口があるため、その窓口宛に提出します。

事前申請+印刷物コピーを提出

事前にハローワークに申請することで、専用の用紙以外で提出が可能となります。前述の通り、離職証明書は通常は3枚綴りの複写式の書類で、専用用紙となっています。しかし、事前に「印刷物での提出の承認申請」をハローワーク窓口で行なっていれば、専用用紙以外の印刷物でも提出は可能となる場合があります。

なお、ハローワークによっては専用用紙以外での申請を受け付けていないところもあるため、事前に管轄のハローワークに問い合わせておきましょう。

e-Govでの電子申請

離職証明書の提出は、窓口提出だけではなく、総務省が運営する「e-Gov」を経由して申請する方法もあります。利用する場合は、電子申請手続検索で「雇用保険被保険者資格喪失届(離職票交付あり)」を検索・選択し、必要情報を入力します。

なお、電子申請の際は、事前にe-Govでの手続き用アプリケーションのインストールと、電子証明書の発行が必要になるため、あらかじめ準備しておきましょう。また、個別の手続きの際は、賃金台帳や出勤簿(タイムカード)などのPDFの添付が必要となるため、あらかじめPDFファイルを作成しておきましょう。

クラウドサービスでの電子申請

各種クラウドサービスを経由して離職証明書を提出することも可能です。特に、給与計算ソフトと連動したクラウドサービスであれば、月々の給与データと連動して賃金証明欄(離職の日以前の賃金の支払状況等)を自動で反映できます。サービスごとに操作の詳細が異なるため、事前にマニュアル等を確認しておきましょう。

なお、クラウドサービスを経由しての申請でも、e-Govでの申請同様、あらかじめ電子証明書の発行が必要があります。

マネーフォワード クラウド社会保険で「離職証明書(離職票)」の作成を効率化

オリオンビール株式会社の事例

社会保険では、特に離職票作成の手軽さに感動しました。これまでは給与計算システム上のデータを見ながら、月ごとの給与と対象者の労働日数を「e-Gov」に手入力して電子申請していたのですが、現在では「クラウド社会保険」上のボタンひとつで「クラウド給与」からデータを呼び出して一気に自動入力。電子申請まで同じシステム上で完結でき「こんなに簡単でいいの?!」と驚きました。

【無料】入社・退職・異動の手続きガイドブック

上記で見てきた通り、離職票の発行を求められた場合など、従業員の退職時は手続きが煩雑になりがちです。また、入社時及び退社時は社会保険・雇用保険の手続きだけではなく、住民税の事務も行う必要があるため、抜け漏れ無いように手続き・書類を把握してかなくてはいけません。

これらは、手続きごとに確認すると混乱が生じやすい部分でもあります。入社・退職・異動の手続きガイドブックは、一元的に必要な書類・手続きがまとまっているため、非常に見やすく、参考にすると抜け漏れ防止に役立つでしょう。ぜひご活用ください。

監修者の編集後記 -離職票について-

退職者から求められたら、離職票を発行することは会社の義務となります。離職票発行は添付書類も多く、記入する欄も多い煩雑な作業です。また、離職証明書を誤って記載すると、書類差し戻し(返戻)となる場合があり、退職者の受給開始時期に影響が出るため、確実にこなすことが必要です。

離職票を発行する担当者に求められるのは、各記入欄を含めて離職票の性質をしっかり理解することと、クラウドサービスなど利用可能なツールがあれば、積極的に活用していくことだといえます。

※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。