イノベーションの意味を簡単に解説!使い方・企業事例5選

この記事のポイント

  • イノベーションとは革新などを意味する言葉です。ビジネスにおいては、新技術などを用いることにより、新たな価値を創造する意味で用いられます。
  • イノベーションには、複数の種類があり正しく理解することで、新たなサービスや商品の開発につなげることが可能です。
  • イノベーションに注目する企業は多く、新たな技術や発想の導入より事業の成長につなげています。

イノベーション(innovation)の意味を簡単に言うと?

イノベーションの意味を簡単に解説!使い方・企業事例5選

イノベーションとは、革新的な技術・発想などを導入することで、新たなビジネスモデルの構築や、商品・サービスの開発につなげることを指します。本項では、イノベーションの語源や使い方などについて、解説を行います。

イノベーション(innovation)の語源

イノベーションは、英単語の「innovation」を語源とします。英単語としてのinnovationは、「革新」「改革」を意味しますが、ビジネスでは技術革新の意味で用いられることが多くなっています。

イノベーションの言葉の使い方・例文

イノベーションは、以下のように使用されます。発展や発達につながるため、悪い意味として用いることはあまりありません。

  • 既存の手法にこだわっていては、イノベーションは生まれない。
  • 外部人材の活用が、我が社にイノベーションを起こす原動力となった。
  • 新たなAI技術により、社会にイノベーションが起きている。

イノベーションを他の言葉に言い換えると?

イノベーションは、技術や情報、組織などの「革新」の意味で用いられることが多いですが、他の言葉に置き換えるのであれば、以下のようになるでしょう。

  • 再編
  • 刷新
  • 創意
  • 改新
  • 改善

シュンペーターのイノベーション理論とは?

イノベーションは、経済学者であるヨーゼフ・シュンペーターにより、提唱された概念です。シュンペーターは、自身が著した「経済発展の理論」において、イノベーションが核となる経済発展理論を展開しています。

シュンペーターが提唱する理論では、「価値創造の方法を変革することで、対象領域に革新を起こす」ことがイノベーションであるとされています。また、変革を行う過程で、「新結合」が起きるとしています。

イノベーションと企画者、銀行の3つが経済発展の重要な要素であるというのがシュンペーターの主張です。銀行が融資を行い、融資された資金をもとに企画者が商品やサービスを開発することで、イノベーションの発生につながります。

イノベーションは技術革新に限られない

イノベーションは、ビジネスにおける多くの文脈で、技術革新の意味で用いられています。しかし、シュンペーターが提唱するイノベーションでは、技術革新に限らず社会に変革をもたらす新たな価値創造は、全てイノベーションとされています。

破壊的イノベーションとは?

破壊的イノベーションとは、クレイトン・クリステンセンにより提唱されたイノベーション理論の1つです。

ハーバードビジネススクールの教授であった同氏は、「イノベーションのジレンマ」において、破壊的イノベーションを提唱しています。同氏は、技術の革新や新たな発想の導入によって、価値基準を変革し、既存市場の構造を根本的に変化させることが、破壊的イノベーションであるとしています。

破壊的イノベーション事例

破壊的イノベーションの事例としては、以下のようなものが挙げられます。

  • ロボット掃除機

    ロボット掃除機は、従来の掃除機と全く異なるアプローチを行った商品です。従来の掃除機市場では、本体重量や吸引力などで競争を行っていました。しかし、「自動で掃除する」という新たな着眼点によって、イノベーションを起こしたロボット掃除機が、既存市場を変革しています。

  • スマートフォン

    スマートフォンは、その登場と普及により、PCや音楽プレイヤー、カメラなどの市場に大きな変革をもたらしました。また、スマートフォンは最早我々の生活に欠くことのできない生活必需品といっても過言ではありません。我々の生活スタイルすら一変させたスマートフォンは、破壊的イノベーションの好例といえるでしょう。

デジタルイノベーションとは?

デジタルイノベーションとは、デジタル技術を用いて、ビジネスモデルや商品・サービスなどに革新をもたらすことを指します。現代社会では、目覚ましい速度で新しいデジタル技術が開発されているため、デジタルイノベーションは決して珍しいものではありません。

DXとの違い

デジタルイノベーションに似た概念として、DX(デジタルトランスフォーメーション)が挙げられます。DXは、デジタル技術によって、業務プロセスの改善やビジネスモデルの変革を行うことを指す言葉です。

デジタルイノベーションとDXは、両者ともデジタル技術を用いて変革を行うことを指し、ほぼ共通の意味を持つといって良いでしょう。ただし、DXはビジネスモデルや商品・サービスだけでなく、過程となるプロセスも包含する概念です。そのため、DXの中にデジタルイノベーションが含まれていると考えることも可能です。

デジタルイノベーション事例

デジタルイノベーションの事例としては、「電子契約」を挙げることができるでしょう。電子契約により、それまで紙ベースの契約書が必要であった契約締結が、電子上で可能となりました。このことにより、時間や場所を問うことなく、契約締結が可能となっています。

また、従来の紙ベースでの契約から電子契約に切り替えることで、契約書の保管スペースも不要となりました。契約締結の利便性を向上させ、保管スペースの問題を解決する電子契約は、業務を一変させたデジタルイノベーションの好例といえます。

イノベーションの企業事例5選

イノベーションを起こすことにより、新規事業の創出や、新たな顧客獲得に成功している企業も多く存在します。本項では、イノベーションの企業事例を紹介します。

日立グループ

株式会社日立製作所は、社会イノベーション事業を行っています。同社の社会イノベーション事業では、IT技術やOT(Operational Technology)、プロダクトなどを活用することで、社会的課題の解決に取り組んでいます。

社会的な技術革新に取り組み、自社の利益だけでなく、社会的課題解決を目指す同社の姿勢は、SDGsの達成につながるものでもあります。自社の利益のみを求めない同社の姿勢は、企業としての社会的価値を高め、新たな顧客獲得につながるでしょう。

参考:社会イノベーションとは?|株式会社日立製作所

株式会社ZOZO

株式会社ZOZOでは、先端テクノロジーを活用した新たな価値創造に取り組んでいます。同社は、2021年10月に研究開発機関である「ZOZO研究所」と、R&D(研究開発)部門である「MATRIX」を中心とした「株式会社ZOZO NEXT」を発足させました。

新会社により、「ファッションの数値化」に関する研究開発を行い、スピード感のある「革新的な新規事業開発」を行うとしています。ファッションの正解という定性的な要素を数値化する同社の取り組みは、市場に大きな変革をもたらします。

参考:先端テクノロジーを活用し新たな価値をソウゾウする新会社「株式会社ZOZO NEXT」を発足|株式会社ZOZO

株式会社キーエンス

FA(ファクトリーオートメーション)の総合メーカーである株式会社キーエンスは、新商品の約7割が「世界初」「業界初」という企業です。このような独自性や新規性を持った商品開発は、同社の顕在化していない潜在的顧客ニーズの把握によって、成し遂げられています。

同社では、顧客ニーズの把握のために、代理店を通さないダイレクトセールスの手法を取っています。また、「常に目的を考え、主体的に行動する」という考えを社員に根付かせることで、既存の手段にとらわれず、イノベーションを起こすことが可能な環境としていることも特徴です。

参考:事業内容|株式会社キーエンス

株式会社GOURIKIコーポレーション

建設会社である株式会社GOURIKIコーポレーションは、機械式駐車場平面化の新工法となる「スマートデッキ」を開発しています。スマートデッキは、機械式駐車場を撤去後、すぐに平面化したいという顧客のニーズを的確に捉えた業界初の製品です。同社が培ってきた現場の知見と東京工業大学の頭脳という新結合により、生み出されました。

産学連携によるイノベーションを起こすことで、画期的な製品開発を行う同社は、イノベーションの好例といえるでしょう。

参考:中小企業のイノベーション創出事例 株式会社GOURIKIコーポレーション|東京商工会議所

株式会社セルビー

宝石販売を手掛ける株式会社セルビーは、実店舗とWEB店舗の効率的な管理を可能とするシステム「OMRIS」を自社開発しています。同システムの開発により、実店舗での実際の販売が可能となり、同社の販売チャネル拡大につながりました。

同システムは、自社だけでなく他社でも採用されており、販売チャネル拡大に変革をもたらしています。また、同社は東海大学との産学連携により、AIによる画像補正アプリを開発するなど、積極的にデジタルイノベーションによる新たな価値創造に取り組んでいます。

参考:中小企業のイノベーション創出事例 株式会社セルビー|東京商工会議所

もっと詳しく!イノベーションに関するおすすめ論文と要約

イノベーションに関する論文や情報を要約して紹介します。

イノベーションとマーケティング ~価値次元の可視性と価値創造の論理~

この論文は、イノベーションとマーケティングの関係を価値創造の観点から探求しています。著者は、企業活動の根幹としてのマーケティングとイノベーションの重要性を強調し、両者の統合が必要であると主張しています。

イノベーションは単なる技術や製品の開発ではなく、「商業化された発見」であり、顧客や社会に新しい価値を提供することが本質です。一方、マーケティングは顧客のニーズを深く理解し、適切な製品やサービスを提供することで価値を創造する活動です。著者は、コモディティ化の圧力に対抗し、持続可能な価値創造を実現するためには、イノベーションとマーケティングの相互作用が重要であると指摘しています。特に、「カテゴリー・イノベーション」という概念が紹介され、新しい価値次元を創造し、顧客に受け入れられることが重要であるとされています。

また、イノベーションの成功には、単に技術的な進歩だけでなく、顧客に価値を伝え、理解させる「イノベーションのマーケティング」が不可欠であると論じています。この論文は、イノベーションとマーケティングの伝統的な分業関係を超え、両者の融合を通じて新しい価値創造の可能性を探るものです。

出典:一橋大学「イノベーションとマーケティング ~価値次元の可視性と価値創造の論理~」

プロジェクトの中止又は遅延がイノベーション活動の生産性に及ぼす影響

この論文は、イノベーション活動におけるプロジェクトの中止や遅延が企業の生産性にどのような影響を与えるかについて分析しています。研究では、中止や遅延がイノベーションの失敗や不調と見なされがちですが、一方で、これらがイノベーションの成果を高めるための必要なコストであるという見方もあります。

分析の結果、プロジェクトの中止や遅延を経験した企業は、イノベーション活動の生産性が高い企業特性と一致しており、中止や遅延を経験した企業のプロダクト・イノベーションの実現確率は、未経験の企業と比べて約6.0~12.0%高いことがわかりました。これは、プロジェクトの中止や遅延が資金や人材の不足によるものではなく、活発なイノベーション活動の過程で生じた試行錯誤やプロジェクトの選別によるものである可能性を示唆しています。

この研究は、イノベーション活動におけるリスクの高い活動に対して、失敗に寛容なプロジェクト・マネジメントの有効性を示唆しています。プロジェクトの中止・遅延を許容することにより、新規性は高いが不確実性の大きいプロジェクトに挑戦しやすくなり、新しい知識の探索機会が増える可能性があります。また、プロジェクトの中止によって、研究開発のための資金・人材を他のプロジェクトに再配分できるため、企業全体のイノベーション生産性が改善される可能性もあります。

出典:JSTAGE「プロジェクトの中止又は遅延がイノベーション活動の生産性に及ぼす影響:「第 4 回全国イノベーション調査」による定量分析」

監修者の編集後記 -イノベーションについて-

現在の日本は、少子高齢化の進展により労働力人口の減少傾向が続いています。このような状況において、従来通りのサービス提供方法にこだわっていては、人手不足により早々に行き詰まってしまうでしょう。

事業の継続性を高めるためにも、既存の手法にとらわれない新たな手法の導入が必要です。そのためには、イノベーションが重要となってきます。当記事で紹介した事例を参考に、自社の業務にイノベーションを起こしてください。

※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。