アイスブレイクとは?意味や効果、会議・研修で使えるネタ・ゲームの例

この記事のポイント

  • アイスブレイク(Ice break)とは、初対面の人との緊張感のある場を和ませるためのコミュニケーション方法です。
  • 大勢でアイディアを出し合うミーティングや、参加者の意見が重要になる会議前に行うと、参加者からの意見が出やすくなるのがメリットです。
  • 自己紹介やゲームなどがあり、対面でもオンラインでも実施できます。

アイスブレイクとは?

アイスブレイクとは?意味や効果、会議・研修で使えるネタ・ゲームの例

アイスブレイク(Ice break)とは、初対面の人との緊張感のある場を和ませるためのコミュニケーション方法を指しています。硬い雰囲気を「氷(Ice)」に例え、それを「砕く(break)」という意味で「アイスブレイク」と呼ばれています。

アイスブレイクでは、参加者の関係性や目的に応じて、身近な話題の会話や簡単なゲームなどが用いられることは多いです。

アイスブレイクを使う場面

ビジネスシーンにおいて、アイスブレイクは下記の開始前や、休憩時間を挟んで再開する前の時間を利用し行います。時間は、5〜15分程度が一般的です。

  • 会議
  • 研修
  • 商談
  • 講演会やセミナー
  • 採用面接

特に、大勢でアイディアを出し合うミーティングや、参加者の意見が重要になる会議の前で有効だといわれています。

アイスブレイクを行う効果・メリット

アイスブレイクを行うことで、どのような効果やメリットが生まれるのでしょうか?

雰囲気を和らげる

初対面同士の会議や研修では、緊張で会話が進まなかったり、積極的に意見が出てこなかったりすることがよくあります。アイスブレイクを行うことにより雰囲気が和らぐため、参加者同士が話しやすくなります。商談や面接では、本来の力が発揮しやすくなるでしょう。

人間関係作りに役立つ

アイスブレイクでは、名前や所属などの基本情報だけでなく、性格や趣味などの個人的な情報も知るきっかけになります。ビジネスシーンでは見られない相手の一面を知ることで、人間関係作りにも役立つでしょう。

アイスブレイクで話すことで、休憩時間などでも参加者同士がコミュニケーションをとりやすくなります。これによって参加者同士のつながりができ、普段の業務の効率化や生産性の向上が期待できます。

参加者の発言がしやすくなる

アイスブレイクで話すと参加者同士の距離感が縮まり、会議などで参加者が発言しやすくなります。

また、研修や会議では「その場にいるだけ」「聞いているだけ」といった人も生まれがちです。しかし、アイスブレイクは参加者全員に発言順が回るため、自分も参加者の1人という意識付けができるでしょう。

アイスブレイクを行うデメリット

良いところばかりに見えるアイスブレイクですが、場合によってはデメリットになることもあります。

時間の管理がしにくい

アイスブレイクでは、時間の管理が大切です。あまりにも長過ぎると、本題の時間が短くなるだけでなく、疲労や集中力の低下につながります。逆に、短過ぎると十分なコミュニケーションがとれないまま終わってしまいます。

目的に合った制限時間を設定し、アナウンスしてから行いましょう。音の出るタイマーを使うと、発言しづらい場面や夢中になっている場面でも切り上げやすくなるのでおすすめです。

準備や片付けに時間がかかることも、念頭においておきましょう。

会議や研修の生産性を下げてしまう可能性

アイスブレイクは、話題の選定によっては相手の感情を害してしまい生産性を下げてしまう可能性があります。そのため、以下のようなテーマは避けたほうがよいでしょう。

  • 政治
  • 宗教
  • 学歴
  • 愚痴
  • スポーツ
  • 芸能

また、個人的な情報(恋愛、金銭面など)に踏み込み過ぎないこと、発言を強制しないこと、批判や悪口は禁止などのルールも周知しておくと安心です。

今ひとつ盛り上がらない場合も

参加者やテーマによっては、盛り上がらないことも考えられます。気まずい雰囲気が流れている場合は、制限時間の途中でも別のテーマを投げかけることも1つの方法です。

また本題を優先し、効率化を求めるような参加者が多い場合は、早めに切り上げたり本題後に行ったりする方法もあります。アイスブレイクは、必ず実施すべきものではないことを覚えておきましょう。

アイスブレイクの心がけやネタ例

では、どのようなことを心がけると、アイスブレイクがうまくいくのでしょうか?

相手を褒める

人は褒められると、やる気を生み出すドーパミンと、幸せな気持ちにさせるセロトニンが分泌されて脳が活性化します。また、人を褒める側もストレスを緩和し幸せな気持ちにさせるオキシトシンが分泌されることが分かっています。そのため、アイスブレイクで相手の良い部分を見つけたときには、積極的に褒めるようにしましょう。

ただし、お世辞を混ぜた上辺だけの褒め方は「裏があるのではないか」と不信感を与えかねません。本当に思ったことを、素直に伝えるようにしましょう。

業界のニュース

心理学において、人間は自分と似た特徴を持つ人に魅力を感じやすいことが分かっています。アイスブレイクの参加者が近い業界の人であれば、業界のニュースを話題にしてみましょう。

専門的な内容を共有できる相手として親近感を与えることにより、距離を縮めやすくなります。さらに「よく勉強している人」と印象付けられれば、次の仕事にもつながるかもしれません。

キドニタテカケシ衣食住(木戸に立てかけし衣食住)

「キドニタテカケシ衣食住」とは 、使いやすいトークテーマの頭文字をつなげたものです。どのような会話をすればよいか困ったときは、参考にしてみましょう。

  • 気候
  • 道楽(趣味)
  • ニュース
  • 天気
  • 家族
  • 健康
  • 仕事
  • 服飾
  • 食べ物
  • 住まい

アイスブレイクでは、参加者のプライバシーに踏み込み過ぎないよう無難な内容を選ぶことがポイントです。特に「か(家族)」や「け(健康)」は、デリケートな話題であるため、避けた方が無難です。また「し(仕事)」についても、参加者次第では避けた方がよい場合もあるでしょう。

オンラインでのアイスブレイクの具体例

アイスブレイクで「自己紹介」は、定番のテーマです。中でも、変わり種かつオンラインで実施できる方法を紹介します。

「実は…」自己紹介

「実は○○です」は、ギャップのある内容で自己紹介を行います。意外な情報を教えることで印象が深くなり、そのギャップが大きいほど相手に覚えてもらいやすくなります。また、相手の意外な一面を知れるため、秘密を知ったような気持ちになり、より親交を深められます。

人数の目安:2~10人

他己紹介

「他己紹介」は、自分ではなく相手のことを紹介します。

インタビューかペア形式で相手の情報収集をして、時間が来たら他の参加者に相手のことを紹介します。紹介し終えた後は拍手することで、メリハリがつくだけでなく和やかな雰囲気で実践できるでしょう。

紹介する相手について知る必要があるため、参加者同士でのコミュニケーションが生まれます。そして、相手のことを聞いていくと意外な一面が見えてくることもあります。

人数の目安:2~10人

アイスブレイクに役立つゲーム

続いて、対面で実施できるゲーム式のアイスブレイクを紹介します。

バースデーライン

「バースデーライン」は、制限時間内に誕生日の早い順番から1列に並ぶゲームです。ただし、並ぶ際に会話も筆談も禁止です。つまり、ジェスチャーだけで自分の誕生日を伝える必要があります。参加者の誕生日が分かり、お互いを知るきっかけになります。

あまりにも簡単過ぎる場合は、名前のアイウエオ順(ネームライン)や起床時間/就寝時間(タイムライン)で並んでもらう方法もあります。

人数の目安:15人~

英語禁止ゲーム

英語禁止ゲームでは、英語やカタカナで表記されるものは禁止にして会話をします。いきなりスタートすると参加者は困ってしまうため「自己紹介」などお題を設けるとよいでしょう。英語を使用した時点で負けでもよいですが、点数制にすると制限時間いっぱい全員で楽しめます。

人数の目安:2~10人

ジェスチャーゲーム

ジェスチャーゲームでは、声を出さずに、表情や体の動きでお題を表現していきます。複数人で1つのチームになり、1人だけジェスチャーをする人を決めます。ジェスチャーする人だけがお題を確認して、ジェスチャーでお題を表現していきます。制限時間以内にチームのメンバーがお題を当てられたら成功です。

人数の目安:3~10人

Good & New

GOOD&NEWは、24時間以内に起きた「良いニュース」「新しいニュース」を短い時間発表します。手軽な上、前向きな雰囲気になりやすいため大人数でも行えます。

人数の目安:3人~

覚えて自己紹介ゲーム

2〜3人でチームを組み、ペアの人に向かって5分程度のインタビューを行います(名前や出身地、趣味など)。その後、インタビューの内容をまとめて全員に向けて紹介しましょう。

人数の目安:2~3人

企業のアイスブレイクへの取り組み事例

企業ではどのような場面でアイスブレイクが取り入れられているのでしょうか?

スターバックス コーヒー ジャパン株式会社

スターバックスの「YES, WE DO KYOTO!」プロジェクトでは、ワークショップの前にランチをしながらアイスブレイクが実施されました。

アイスブレイクで雰囲気が和らいだことで、参加者は積極的にグループメンバーと意見を共有し、会場全体が笑顔と熱気に包まれていました。

参考:スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社

コニカミノルタ株式会社

コニカミノルタ株式会社では、ウォーキングイベントを実施し、約80名が参加されました。ウォーキングの前に、インストラクターさんのアイスブレイクが行われ頬と体を温めてからスタートしています。コミュニケーションが深まると「1番を目指すチーム」「草花を楽しみながらのんびり歩くチーム」などそれぞれのチームらしさが生まれ、協力して素敵なイベントになりました。

参考:コニカミノルタ株式会社 

トヨタ自動車株式会社

トヨタ自動車株式会社では、日本人に限らず、さまざまなスキルや文化背景を持つ人が働いています。ミーティングのはじまりのアイスブレイクでは、ざっくばらんに話すことで不要な心理的ハードルをなくすよう心がけています。そして、部下からリーダーへくだらない話もできるような心地良い距離感を作れるようにしています。

参考:トヨタ自動車株式会社 

もっと詳しく!アイスブレイクに関するおすすめ論文と要約

アイスブレイクに関する論文や情報を要約して紹介します。

ゲームを用いたアイスブレイクの効果測定

この論文では、大学の初年次教育やゼミなどの小規模教育において、受講生間の親密さや協力関係の形成が重要であることが述べられています。具体的には、アイスブレイクの手法を用いたゲームが、クラスメンバーやグループメンバーの親密さにどの程度影響を与えるかを定量的に分析しようとする試みです。この研究では、被験者をランダムに小グループに分け、自己紹介時にポジティブまたはネガティブなキーワードを用いるアイスブレイクの効果を測定しました。

研究結果から、ポジティブなフレームを用いたグループがネガティブなフレームを用いたグループよりも多くのキーワードを提示したことがわかりました。これは、フレーミングによってアイスブレイクで親近感を感じやすくなる可能性を示唆しています。しかし、アイスブレイク後のグループ課題の成績には差が見られませんでした。

この研究の目的は、アイスブレイクがクラスやグループの関係性に及ぼす効果を定量的に分析することであり、今後の教育方法の改善に役立つ可能性があります。ただし、被験者数が少なかったため、より多くのサンプルと実験を行って仮説の検証を継続する必要があると結論づけています。

出典:researchmap「ゲームを用いたアイスブレイクの効果測定」

監修者の編集後記 -アイスブレイクについて-

アイスブレイクとは対面の人との緊張感のある場を和ませるためのコミュニケーション方法です。会議や研修の前に導入することで参加者からの意見が出やすくなる効果が期待されます。人によっては無駄だと思うかもしれませんが、1人1人の意見を出しやすい環境作りは仕事のモチベーションや成績に影響していくのではないかと思います。

※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。