ワークショップとは?意味や具体例・進め方のポイント

この記事のポイント

  • ワークショップとは、参加者が主体的に考え解決する体験型の講座のことです。企業においては、主にビジネス研修として活用されます。
  • 参加者が主体的に考え議論することで課題への理解が深まったり、さまざまな考え方に触れられたりするなどのメリットがあります。
  • ワークショップの進め方を理解しビジネス研修などに活用しましょう。

ワークショップの意味とは?

ワークショップとは?意味や具体例・進め方のポイント

ワークショップとは、与えられた課題に対し参加者が主体的に考え解決する体験型の講座のことです。さまざまなワークショップがありますが、企業においては主にビジネス研修として活用され、セミナーやグループワークなど他の研修とは異なる特徴があります。

セミナーでは質疑応答を除くと講師が一方的に講習や情報発信を行うため、受講者にとっては受け身の研修となりがちです。一方、ワークショップでは受講者の主体性を重視し、参加者が自ら考え発信する姿勢が求められます。

また、受講者が参加するという意味ではワークショップと似ているグループワークは、チームワークやコミュニケーションスキルの向上を目的とした共同作業です。一方、ワークショップでは、他の人の意見も取り入れながら自らが考えることを目的としています。

ワークショップが注目されている背景

ワークショップが注目されているのは、企業が求める人材を育成する方法としてワークショップが適しているためです。企業が求める人材とは、主体的に考えて行動する人材や、周りの意見を取り入れながらリーダーシップを発揮できる人材などです。

「2022年度 教育研修の実態と課題に関するアンケート(ジェイック調べ)」によると、企業が注力したいと考えている研修テーマは次の通りです。

  • 1位:リーダーシップ、主体性向上
  • 2位:次世代リーダー育成
  • 3位:コミュニケーション力、プレゼンテーション力向上

ワークショップで、参加者が主体的に考えて発言し、それぞれの意見を尊重しながら話し合うことで主体性やコミュニケーション力、プレゼンテーション力の向上が期待できます。また、議論の中でリーダーシップを発揮する人材が次世代のリーダー候補になることも考えられます。

参考:「2022年度 教育研修の実態と課題」に関するアンケート|株式会社ジェイック

ワークショップの具体例|今人気のワークショップとは?

企業にとって、ワークショップはビジネス研修だけでなくさまざまな場面で活用できます。また、自社の従業員以外の人が参加するワークショップもあります。企業に役立つ主なワークショップは次の通りです。

  • 課題解決型のワークショップ
  • 社会貢献ワークショップ
  • 採用時のワークショップ
  • ビジネスゲームを活用したワークショップ
  • NECのレゴ®ブロックワークショップ

それぞれについて解説します。

問題解決型のワークショップ

従業員向けのビジネス研修として活用されるのが、問題解決型のワークショップです。企業活動の中から課題を選定し、参加者が解決策を求めてワークショップを進めます。

テーマは、管理職のマネジメントや新人育成、新商品・新サービスの開発・マーケティング、経営に関することなどが考えられます。

参加者が課題解決のプロセスを学び、問題解決能力や判断力を高めるなどの効果が期待できます。また、ワークショップでの解決策を企業活動に活かせることもあるでしょう。

社会貢献ワークショップ

社会貢献ワークショップとは、企業や地域の社会貢献をテーマとするワークショップです。企業の従業員を対象としたものだけでなく、地域と連携して開催するワークショップもあります。

日立システムズでは、「CSR(企業の社会的責任)推進プロジェクト」としてワークショップを開催しCSRの実践に向けた活動を展開しています。

また、NECソリューションイノベータは「IDEACTIVE JAPAN PROJECT(日本最大級のビジネスアイデア&ハッカソンコンテスト)」と共同で大学生ワークショップを開催し、企業課題解決に向けて大学生のアイデアを集めました。

参考:サステナビリティ経営の実現に向けて|日立システムズ

採用選考でのワークショップ

採用選考やインターンシップのときにも、ワークショップが活用されています。自社の活動をテーマにワークショップを行うことで、採用候補者に自社のことを知ってもらう効果が期待できます。

また、ワークショップでの発言や態度などが、採用候補者のリーダーシップやコミュニケーション力の判断材料になることもあるでしょう。

ビジネスゲームを活用したワークショップ

ビジネスゲームとは、企業のさまざまな業務を擬似体験できるゲームのことです。複数の従業員が参加してワークショップを行うゲームが、研修会社などから提供されています。

ビジネスゲームを活用する主なメリットは次の通りです。

  • ゲームを楽しみながらビジネスマンとしての能力が身につく
  • 研修会社などの専門知識やノウハウを活かした研修ができる
  • 研修担当者の負担を軽減できる

NECのレゴ®ブロックワークショップ

NECの「レゴ®ブロックワークショップ」は、前述のビジネスゲームを活用したワークショップの1つです。NECが開催するワークショップに、個人が参加する点は企業内で行うビジネスゲームと異なります。

テーマは、ITやAI、SDGsなど将来のビジネスに求められるものが中心で、レゴ®ブロックキットを使った新しい発想のワークショップです。

開催会場に行く方法とオンラインで参加する方法などがありますが、従業員に研修休暇を与えるなどして、ワークショップへの参加を促す方法もあるでしょう。

参考:ワークショップ/セミナー|NEC

ワークショップの進め方のポイント

ワークショップで活発に議論が行われ成果を出すためには、ワークショップを円滑に進める必要があります。ワークショップの進め方について、主なポイントは次の3つです。

  • テーマを明確にする
  • 役割分担をする
  • 事前準備を万全に行う

それぞれについて解説します。

テーマを明確にする

ワークショップを円滑に進めるには、テーマを明確にすることが重要です。テーマが曖昧な場合、参加者が異なる解釈をして議論の方向性が定まらない危険性があるためです。

また、議論がブレないように最終的にどういう形で結論を出すかについても、参加者に明確に伝えましょう。参加者全員が同じゴールに向かって議論することで、ワークショップが円滑に進行します。

参加者にテーマやゴールを説明するときは、参加者に疑問が残らないように質問の時間を設けてもいいでしょう。

役割分担をする

ワークショップを始める前に、参加者それぞれの役割分担を決めることも必要です。限られた時間内に結論を出すために、効率的にワークショップを進めなくてはなりません。役割が明確になれば、それぞれが役割を果たして議論を円滑に進めるように行動します。

事前に設定する主な役割は次の通りです。

  • ファシリテーター(司会・進行)
  • 議論内容の記録係
  • タイムキーパー
  • 発表者  など

適性を考えて事前に役割分担を決める方法もありますが、参加者が話し合って選任してもいいでしょう。

事前準備を万全に行う

ワークショップを円滑に進めるには、会場や備品などの事前準備も大切です。ワークショップで使用する備品などを準備していないと、ワークショップが中断したり、議論に集中できなかったりする可能性もあるためです。

ワークショップで使用する主な備品などは次の通りです。

  • 会場
  • 討論時に使用するホワイトボードや付箋、筆記用具
  • 発表時に使用する模造紙やスクリーン、カラーペン など

会場を準備するときは、話しやすい雰囲気づくりを意識しましょう。参加者が落ち着いて議論できるように、会場の広さや雰囲気、机の配置なども重要です。

ワークショップのメリット・デメリット

注目を集めるワークショップですが、ワークショップにはメリットとデメリットがあります。それぞれについて紹介しますので、メリットとデメリットを理解した上で効果的に活用しましょう。

メリット

ワークショップの主なメリットは次の通りです。

  • 当事者意識や達成感が得られる
  • 自主的に考え議論することで理解が深まる
  • さまざまな考え方に触れられる

ワークショップで課題について自分で考え意見を発信することで、当事者意識が高まり達成感を得やすくなります。また、自分で解決策を考えたり他人と討論を重ねることにより、課題について深く理解できます。

さらに、参加者全員の意見を聞くことによりさまざまな価値観や考え方に触れ、視野を広げられることもメリットです。

デメリット

ワークショップの主なデメリットは次の通りです。

  • 議論が盛り上がらないことがある
  • 知識を深めることはできるが幅広い知識を得るには不向きである

ワークショップに不慣れで発言しづらい雰囲気ができたり、主張が強い人に他の参加者が引っ張られて議論が盛り上がらなかったりすることもあります。議論が細部に集中したり、主張が対立して議論が瞑想することもあるでしょう。

また、セミナーと比較してワークショップは幅広い知識を得るには不向きです。特定のテーマの議論に時間を費やし、テーマが限定されてしまうためです。幅広い知識を体系的に学ぶにはセミナー、特定のテーマについて深く考えるにはワークショップが適しています。

もっと詳しく!ワークショップに関するおすすめ論文と要約

ワークショップの効果とメリットに関する主な研究結果は以下の通りです。

  1. 健康専門家の学習におけるワークショップの効果: 感覚調整ワークショップは、精神保健スタッフの知識、技能、態度を顕著に向上させました。これは、介護者との制約の使用を減少させる予防策についてスタッフを教育するために導入されました (Azuela & Robertson, 2016)
  2. 失業者向けジョブサーチワークショップの長期的な影響: JOBSプログラムに参加した実験グループは、2年後に再就職率と月収が有意に高く、うつ症状が低く、メンタルヘルスの状態が改善されました (Vinokur et al., 2000)
  3. 余暇活動ワークショップが高齢者に与える心理社会的効果: 余暇活動ワークショップは、高齢者の生活満足度を高め、うつ病や孤独感を減少させる効果がありました (García & Gómez, 2003)。
  4. レバノンの小学生向けライターズワークショップの影響: このワークショップは、全ての執筆能力グループの生徒の英語作文スキルを統計的に有意に改善しました。しかし、上級執筆者がより多くの利益を得たことが分かりました (Al-Hroub et al., 2019)

結論として、ワークショップは、教育、健康、心理社会的福祉など多様な分野で、参加者の知識、技能、態度、メンタルヘルスの向上に効果的であることがわかります。

監修者の編集後記 -ワークショップについて-

ワークショップとは、テーマについて参加者が主体的に考え解決する体験型の講座のことです。ワークショップを円滑に進めるには、事前準備など活発な議論が行われるような環境づくりが重要です。

本記事を参考にワークショップの特徴を理解し、企業が求める人材の育成や採用選考、企業活動に効果的に活用しましょう。ワークショップに関するノウハウに乏しい場合は、社外のツールの活用も選択肢です。

※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。