適性検査とは?代表的な15種類!対策法・導入メリット
この記事のポイント
- 適性検査とは、検査の対象となる人物の能力や人格について、試験を通し検査することで業種や職種などへの適正を測るものです。
- 適性検査は、企業の採用活動で用いられることが多くなっています。検査結果は、企業が求める人物像と応募者のマッチを測るために使用されます。
- 適性検査には、様々な種類が存在しており、それぞれ導入目的や必要となる対策が異なります。
目次
適性検査とは?
適性検査とは、検査の対象となる人物の能力や特性、人格などを検査し、業種や職種など特定の項目との適性を測る試験です。適性検査における試験は、会社における筆記試験や、自宅でのWeb試験など様々な形式で行われます。
適性検査は、主に企業の採用活動に導入されており、自社の求める人物像と応募者のマッチを測る目的で実施されます。適性検査の実施により、面接や一般教養試験だけでは分からない求職者の業務や職種への適性が判断可能です。適性検査を有効に活用することで、採用後のミスマッチを防ぐことにつながるため、応募者と企業の双方にメリットのある検査といえるでしょう。
適性検査の主なテスト形式
適性検査に決まった形式はなく、テストの形式も様々ですが、主な形式として以下のような例が挙げられます。
- 自社試験
自社に応募者を招いて、適性検査を実施する最も一般的な方法です。日時の指定のみすれば、他に特別な準備は不要なため、簡便な方法ともいえるでしょう。ただし、自社の所在地によっては受験者の負担となることがあり、結果の集計にも手間が掛かってしまいます。
- テストセンター
全国各地に設けられたテストセンターで適性検査を実施します。検査実施には、委託によるコストが掛かりますが、監督者が存在するため、不正を防止できる形式です。また、自社による集計の手間も掛かりません。
- Web試験
自宅などからインターネット回線を通じて、適性検査を実施します。時間と場所の制約がないため、受験者にとって最もハードルの低い方法です。しかし、身代わり受験など不正が起きる可能性もあり、回線の状況によっては受験が困難となる場合もあります。
新卒採用(就活)と中途採用(転職)の適性検査の違い
適性検査は、企業の採用活動において導入されています。しかし、採用にも新卒と中途の2種類があり、それぞれ適正検査実施の目的も異なります。
新卒採用において実施される適性検査は、採用後の配属部署の決定を主な目的としています。本来であれば、本人の希望に沿った部署へ配属することが理想です。しかし、部署の人員枠には限りがあるため、適性検査の結果を考慮し、割り振る必要があるでしょう。また、本人の有するポテンシャルを測ることができるため、将来のキャリアパス設定にも利用されます。
中途採用における適性検査は、即戦力として活用可能か判断するために行われます。一般的に中途採用では、配属部署や職種が決まった状態で募集されるため、その部署や職種との適性がない人材は採用できません。新卒と違い、即戦力としての活躍を期待される中途採用では、仮に高いポテンシャルがあっても、配属先への適性がなければ活用が難しいでしょう。
適性検査の代表的な15種類|導入メリット・対策方法
適性検査には数多くの種類があり、種類に応じて導入のメリットや必要となる対策も様々です。本項では、適性検査の代表的な15種類について紹介します。
1.SPI3
SPI3は、株式会社リクルートマネジメントソリューションズが提供する適性検査です。最も有名な適性検査であり、企業規模を問わず多数の企業で導入されています。圧倒的なシェアを誇り、導入実績が豊富な点や受験者数の多さから信頼性の高いデータを取得できることがメリットとなります。SPI3には複数の種類があり、中途採用に対応している点もメリットといえるでしょう。
対策
SPIでは、非言語分野と言語分野から出題され、性格検査とのセットが基本のため、幅広い対策が必要です。事前にツールなどを使って学習しておきましょう。また、オプションとして英語検査も存在するため、場合によってはそちらの対策も必要となります。
参考:SPI3公式サイト|株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
2.玉手箱Ⅲ
玉手箱Ⅲは、日本エス・エイチ・エル株式会社が提供する適性検査です。SPI3に次ぐメジャーな適性検査で、パーソナリティと知的能力を測るスタンダードな試験となります。同検査は新卒向けの適性試験であるため、中途採用に用いられることはほとんどありません。知的能力だけでなく、パーソナリティも検査するため、よりミスマッチが起こりづらくなる点がメリットといえます。また、自宅受験における高いシェアを誇る適性検査のため、自宅受験者の多い企業であれば、導入しやすい点もメリットです。
対策
非言語分野と言語分野の双方から出題されるため、幅広い学習が必要です。また、英語の長文読解なども出題されるため、英語対策も必要です。
参考:適性検査の見直しにも!SHLの採用適性検査シリーズとその違いを一挙ご紹介(玉手箱Ⅲ、GAB、CAB、RAB、その他)|日本エス・エイチ・エル株式会社
3.GAB
GABは、玉手箱Ⅲと同じく日本エス・エイチ・エル株式会社が提供する適性検査です。総合職での新卒採用を目的として開発された検査であり、研究所や証券会社、商社など高度の知的能力を要する業界での採用において、導入されています。
総合職の採用に特化した適性検査のため、総合職採用において高いミスマッチ防止効果を持つことが導入のメリットとなります。
対策
試験ではパーソナリティ検査の他に、高い知的能力が求められるため、出題される言語理解や計数理解についての学習が必要となるでしょう。また、時間制限が厳しいため、焦らず正確に解答することが大切となります。
参考:適性検査の見直しにも!SHLの採用適性検査シリーズとその違いを一挙ご紹介(玉手箱Ⅲ、GAB、CAB、RAB、その他)|日本エス・エイチ・エル株式会社
4.CAB
CABも玉手箱ⅢやGABと同様に、日本エス・エイチ・エル株式会社が提供している適性検査です。GABと異なり、SEやプログラマーなど、コンピューター職の採用における適性検査に特化しています。GABと同様に特化した適性検査であるため、対象となるコンピューター職の採用後のミスマッチを高い確率で防げることがメリットです。
対策
事務処理能力を重視した試験であるため、知的能力検査においては、暗算や法則性などの理解が必要となります。同じ作業を素早く正確にこなす能力が必要となるでしょう。また、GAB同様に制限時間が厳しいため、時間内に解答できるよう対策を行う必要があります。
参考:適性検査の見直しにも!SHLの採用適性検査シリーズとその違いを一挙ご紹介(玉手箱Ⅲ、GAB、CAB、RAB、その他)|日本エス・エイチ・エル株式会社
5.内田クレペリン検査
内田クレペリン検査は、株式会社日本・精神技術研究所が提供する適性検査です。90年近い歴史を持ち、受験者数も多いメジャーな適性検査となります。一度の試験で、能力と性格の双方を測ったり、受験者への指示や、必要となる号令が入ったガイダンスを用意してたりするため、実施する企業への負担が少ないことがメリットとして挙げられます。
対策
試験は、数字を記入する筆記試験の形式で行われ、足し算の反復が出題されます。そのため、制限時間内に正確に解答することが重要となるでしょう。普段から計算問題を多くこなすことで、対策とすることが可能です。
参考:内田クレペリン検査 <公式>|株式会社 日本・精神技術研究所(日精研)
6.3E-IP
3E-IPは、人材紹介事業や求人情報メディア運営を行う株式会社エン・ジャパンが提供する適性検査です。約30年の長い歴史を持つ適正検査ですが、タブレット、スマートフォンなど、モバイル端末での受験にも対応しています。メリットとしては、非常に短い受験時間が挙げられます。受験時間は、最大35分となっており、他の適性検査よりも大幅に短い時間で検査を実施可能です。このことは、検査を実施する企業と受験者双方のメリットといえるでしょう。
対策
試験時間が短いことが特徴のため、解答が間に合わない受験者も多く存在します。そのため、事前にツールなどを使って、制限時間内に解答できるように対策しておきましょう。
7.Web適性検査Compass
Web適性検査Compassは、株式会社INGが提供する適性検査であり、職業適性や基礎能力だけでなく、ストレス耐性も測定可能です。検査の全てをWeb上でワンストップにて行えることが特徴であり、その受験しやすさが導入のメリットとなります。検査結果が即時に表示可能なスピーディーさもメリットとなるでしょう。また、新卒採用だけでなく、中途採用にも利用可能です。
対策
試験は、1科目から最大5科目までの範囲で実施されます。英語能力試験が含まれる場合もあるため、英語対策も必要です。また、言語能力試験は5分と短い時間であるため、時間内に解答できるように対策することも必要でしょう。
参考:Web適性検査サービスCompass(コンパス)の導入で企業と個人の最適な結びつきを目指す|株式会社ING
8.CUBIC
CUBICは、株式会社CUBICが提供する30年以上の歴史を持つ適性検査です。採用活動だけでなく、研修や教育における育成資料としても利用可能となっています。設問が予想し辛いことが特徴であり、受験者にとっては対策の難しい試験といえるでしょう。しかし、これは裏を返せば受験者の真の実力が測れるということでもあり、信頼性の高いデータが得られるメリットでもあります。
対策
CUBICは、言語や図形、数理、英語、論理の多方面から総合的に受験者の資質を診断するため、苦手科目をなくすことが重要な対策となります。苦手な科目があれば、重点的に対策を行いましょう。
参考:About CUBIC|CUBIC(キュービック)総発売元 の株式会社CUBIC
9.DPI
DPIは、経済誌やビジネス誌の出版事業を行う株式会社ダイヤモンド社が提供する適性検査です。職場への適応性を診断し、採用活動はもちろんのこと、人材の配置や育成にも利用可能な検査となります。大量受験者に向けた割引プランが用意されており、大量の受験者を予定している企業であれば、導入のメリットとなるでしょう。また、企業の豊富なデータを基に標準化を行っているため、信頼性の高い結果が得られることもメリットです。
対策
試験は、「はい」「いいえ」「わからない」の多肢選択式で出題されます。20分程度で130問から150問に解答する必要があるため、焦らず正確に解答する必要があるでしょう。
10.FACT
FACTは、株式会社エスケイケイが提供するペーパーテスト形式の適性検査です。FACTは基礎能力標準テストであり、数理面や言語面だけでなく展開力も測定し、受験者の基礎的な知的能力を測ります。単純な学力や知的能力ではなく、実務で役立つ総合的な知的能力が測れるため、実務能力の高い人材の発掘につながる点が、導入のメリットとして挙げられます。
対策
推理展開する展開力が測られる試験ではありますが、同時に読解力や数字処理など、基礎的な数理や言語能力も測定されます。そのため、基礎的な数理能力や言語能力を高めることが、FACT受験への有効な対策となるでしょう。
参考:基礎能力標準テストFACT<企業・人事関係の方|株式会社エスケイケイ
11.tanΘ(タンジェント)
tanΘ(タンジェント)は、株式会社シンカが提供する適性検査です。CUBICを基に開発されており、新卒採用や中途採用だけでなく、社員や組織の分析にも活用可能な適性検査となっています。適性検査は15分、3科目の能力検査(各15分)を含めても最大60分で終了するため、受験者への負担が少ないことがメリットです。また、5名までの無料トライアルが可能な点も、導入にあたってのメリットといえるでしょう。
対策
能力試験は言語、非言語、英語の3科目で行われるため、ひとつに偏らない学習が必要となります。また、1科目15分と試験時間が短いため、制限時間内に解答するための対策も必要です。
12.GROW360
GROW360は、Institution for a Global Society株式会社が提供する適性検査です。「気質診断」「自己評価」「他者評価」の3点から受験者のポテンシャルを測定します。AIを活用した多面的な評価が特徴であり、採用はもちろん人材育成にも利用可能です。受験者への充実したフィードバック制度が設けられており、人材の成長に大きく寄与できる点が導入のメリットとなるでしょう。
対策
気質診断テストにおいては、反復作業が多くなるため、丁寧かつ正確に作業することを心掛けましょう。また、他者評価では自分を良く知る人物に評価してもらうことが必要なため、事前に人選を行う必要があります。
参考:人材・組織診断ツールGROW360|Institution for a Global Society株式会社
13.HCi-ab
HCi-abは、適性検査の専門企業である株式会社ヒューマンキャピタル研究所が提供する適性検査です。新卒採用と中途採用双方で利用可能であり、応募者の基礎能力を診断します。高卒相当の試験内容であるため、大卒人材だけでなく高卒人材の採用にも使える点がメリットです。また、診断結果の提出が最短30分とスピーディーなこともメリットとなるでしょう。
対策
多くの適性検査と同様に、言語分野と数理分野からも出題されますが、HCi-abでは時事社会分野からの出題もあります。そのため、新聞やニュースなどで時事に関する情報を収集することが対策となるでしょう。
参考:新卒・中途採用基礎能力診断・検査・テストHCi-ab|ヒューマンキャピタル研究所
14.mitsucari
mitsucariは、株式会社ミツカリが提供する適性検査です。自社の社風と応募者・社員とのミスマッチ防止を最大の目的とした適性検査であり、早期離職率改善に大きな効果が期待できます。早期離職率の高さに悩む企業にとって、大きな導入のメリットとなるでしょう。また、10分程度で解答可能な手軽さも魅力です。
対策
10分程度で診断可能なスピーディーさは魅力であり、受験者への負担軽減にもつながります。しかし、設問数は72問となっており、制限時間はタイトです。そのため、事前対策として、制限時間内にミスなく解答できるようにしておくことが必要でしょう。
参考:ミツカリ(mitsucari) – 適性検査とエンゲージメントサーベイで個と組織の力を最大化する|株式会社ミツカリ
15.採用適性検査TAL
採用適性検査TALは、株式会社ビビッド・ジャパンが提供する適性検査です。応募者のメンタル傾向や、ストレスへの耐性を測るために使用されています。多くのストレスにさらされる現代社会において、応募者のメンタル傾向やストレス耐性を事前に把握できることは、入社後のメンタル不調を防ぐ大きな効果が期待できます。このことは、同検査の導入を後押しするメリットとなるでしょう。
対策
採用適性検査TALは、性格の傾向を知るための試験であるため、正解がなく対策が立てづらいのが特徴です。ただし、選ぶと落とされるような選択肢も存在するため、事前にネットなどで出題傾向を把握しておきましょう。
参考:採用適性検査TAL(タル)|株式会社ビビッド・ジャパン
もっと詳しく!適性検査に関するおすすめ論文と要約
以下に、最新の日本における就職活動に関連する適性検査の動向をまとめます。
- 日本の就職活動において、様々な適性検査が使用されています。例えば、MBTIやホランドテストなどがあり、これらはキャリア選択や職業教育に有用なリソースとして考えられています。(Kim, 2022)。
- 大学新入生のキャリア成熟度に影響を与える要因として、起業家適性レベルと自己効力感が挙げられます。適性検査や職探しの準備度がキャリア成熟にプラスの影響を与えることが分かっています。この結果は、地方の大学での新入生に対する起業教育プログラムや自己効力感向上プログラムの必要性を示唆しています (Kim & Kim, 2023)。
監修者の編集後記 -適性検査について-
企業にとって採用後のミスマッチが問題となることは当然ですが、ミスマッチの発生は応募者にとっても不幸な事態となります。ミスマッチを防ぐため、事前に業務への適性や自社とのマッチ具合を把握しておく必要性は高いでしょう。当記事を有効に活用して、ミスマッチの発生を事前に防いでください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。